第20章 Romans5:3-4
「かーっ…嫌だねえ…」
雅紀はサラサラの髪をボリボリと掻いて、乱暴に掻き上げた。
そのままカウンター越しに、俺に顔を近づけた。
「君のような勘の鋭いガキは嫌いだよ」
「やかましい、ショウ・タッカー」
「君のような活きのいい牡蠣は…」
「言わせねえよ!?」
べちっと額を叩くと、雅紀はゲラゲラ笑い出した。
「もお…誤魔化せねえなあ…」
そう言って、もう1個ロックグラスを取り出した。
氷をガラガラと数個入れると、さっき出したコニャックに手を伸ばした。
「櫻井翔は、8年前の俺達の殺しに気づいてる可能性がある」
「は?」
コニャックを数センチ注ぐと、瓶の蓋を締めた。
「あいつの病院のパーティーで和也と仕事をしたことがあった。おまえが翔の家でぶっ倒れてる時期だ」
「もしかして…翔の弟を和也が…」
「そうだよ。その時」
ぎりっと手を握った。
あれは和也の嫉妬や仲間を守ろうとする意識から出た行動だと思ってた。
まさか、仕事を見られてたかもしれないって…
「あの子はおりこうだよ…ちゃんと俺達の意図を理解してた」
「そりゃそうだろ…身内を盾に取られたんだ」
「まあ、おまえの恋人だってことだから、そこまでの心配はしてなかったんだけどな。なにか感づいただけで、実際に現場を見たわけじゃなさそうだったし」