第19章 Epistle to the Galatians6:5-7
「大げさってさっきから言ってるけど…それって能村さんの願望だよね?」
三宅先生はズバリと言ってのけた。
「正直、オペになるかもしれないんだよ?」
冷静な言葉に、能村さんは俯いてしまった。
「…困る…」
「なにが困るの?」
「うち、母子家庭なんです…」
ああ…
看護師の離婚率は高いって言うけど、うちの病院ももれなくそうなっていて、母子家庭の看護師には手厚いサポートがついている。だから能村さんも内科にいるときはずっと時短勤務できていたはずだ。
「…なら、余計に。あなたは体を大事にしなきゃいけないじゃない」
「はい…」
能村さんは黙り込んでしまった。
三宅先生は気にもせず、診察のベッドを指した。
「とりあえず、足見せてね」
能村さんは診察台にうつ伏せになると、大きなため息をついた。
「じゃあ、触るからね」
「はい…」
そっと三宅先生は能村さんの大きなふくらはぎに触れた。
「ああ。凄いねこりゃ…翔、問診やってもらえる?」
「はい」
能村さんにどこか痛いところがないかとかいろいろと質問をしながら下腿を確認していく。
「よし…じゃあ、仰向けになってもらえますか?」
仰向けになってもらって、今度は足の機能の確認をしていく。
「痛いのは足首でしたよね」
「はい」
「これは?」
足首を持つと、ぐっと曲げた。
角度を変えていろいろやってみたけど、能村さんの反応は鈍い。
「…今は痛くないんです。長い時間歩くと徐々に痛みが増す感じです」