第10章 Jeremiah8:4
妹は医者の子だけあって、すぐにわかったみたいだ。
頷くと、弟に目線を合わせて体を屈めた。
「修!お姉ちゃんと部屋でゲームしようよ!」
「ええ~?だって…」
「ご病気の人が出ちゃったから、この後のビンゴ大会なんかは無くなっちゃうんだって」
「そうなの?じゃあ、お部屋帰る…」
「うん、そうしようね」
妹は俺を見上げると、にやりと笑った。
やはり弟の扱いは俺よりも数段上だ。
「偉いぞ。今度家に行ったらお年玉あげるからな」
「ありがとう!兄ちゃん!」
「あら、お兄様。私には?」
「お兄様だって!普段言わないくせに!」
妹が戯けて弟と一緒に笑い転げている。
その風景を眺めて、なんとなくさっきの嫌なざらついた不快感が消えていく。
「特別だぞ?」
「ありがとう!お兄様!」
とか言ってるけど、こいつらも同年代からみたら多くお小遣いは貰っているはずなんだけどな。
俺もそうだったから。
ステージの方から声が聞こえて、振り返ると担架に乗せられた人が運ばれるところだった。
「舞、修を頼むな」
「わかった」
急いで担架に近寄ると、周りにいる人にお願いして出口までの動線を確保した。
「すいません、ありがとうございます」
担架の人の顔には、誰かがスーツのジャケットを被せていた。
ああ、だめだったんだ──