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花水木が咲く頃に ꕥヒロアカꕥ

第1章 𝔸𝕗𝕣𝕚𝕔𝕒𝕟 𝕔𝕠𝕣𝕟 𝕝𝕚𝕝𝕪










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「あれ ひかりちゃんご機嫌斜め?」

バルコニーの手すりの部分に肘を付き、溜息を吐いた時だった
背中に生える大きな翼をこれでもかと広げさせ私の顔に影を作る
この人の顔を見てしまえばさっきまで曇っていた気持ちはいとも簡単に晴れてしまう


『ホークス!!なんで…どうしてここ…
今週いっぱいまで大阪の遠征なんじゃないの?!』

「挨拶しに来たんだよ
来週には ひかりちゃん雄英行っちゃうからね」


その言葉に反射的に口を噤む
さっきその事でお母さんと軽く揉めてしまったのを思い出す。言葉の代わりに深い溜息を溢してしまう


「やっぱ雄英行くの嫌になっちゃった?」

『違うの、そうじゃなくて…』


雄英の合格通知が届いて二週間
本気だったけれど、いざ受かると現実味がなかった
それよりも私なんかが…と思ってしまったくらいで

お母さんもきっと私と同じだったと思う
一人暮らしするのは危険だと、自分も一緒に行くと言っては聞かないのだ。けれど私はキッパリ断り自分の部屋に逃げるように駆け込んだ


『心配してくれるのは嬉しいけど…ヒーローになるために行くのにお母さんのお世話になるのはなんか違う気がする』


ホークスは黙って聞いてくれてバルコニーの手すりに腰を預ける
彼の前では多少恥ずかしいことも喉を通る

「んーお母さまに一票かな」

『なんで!!』

思わず大きな情けない声で聞き返す
ホークスなら絶対に私の味方をしてくれると思ったのに

「だってオレも心配だしさ
ひかりちゃんてフワフワしてるとこあるし、何かとすぐ騙されちゃうでしょ」

『そ、そんなことないもん…』

確かによくぼーっとするとこはある、かもしれない
横目でケラケラ声を上げる彼を見つめる
…もうこんな風に…

『ホークスと出逢って五年ちょっと、だね』

気付けば声に出していた
しみじみとバルコニーから見慣れた町並みを眺めながら思い耽る…ホークスに初めて会った場所はどの辺だろ


「なんとなく初めてあった日から ひかりちゃんはヒーローを目指すんじゃないかって思ってた」

『からかってる?』

「大マジだよ」

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