• テキストサイズ

花水木が咲く頃に ꕥヒロアカꕥ

第1章 𝔸𝕗𝕣𝕚𝕔𝕒𝕟 𝕔𝕠𝕣𝕟 𝕝𝕚𝕝𝕪




地に足がつくのと同時に私の体は膝から崩れ落ちる
今になって震える体を腕の中で抱き締める
怖かった、すごく怖かった、けど…

訳の分からない気持ちが胸の奥で蠢いてるのが分かる
ソワソワして落ち着かない


「ママぁ!!」


その声に顔を上げれば先程の男の子と涙で目を腫らした女性が強く抱擁し合っていた。映画の感動シーンを観ているようで自然とうるっと視界が滲む


「いやー良かったよ
あのお母さん息子はどこだ、って今にも火に飛び込みそうな勢いだったから」


腕を組み感慨深そうに隣で頷いてる彼を見上げる。羽だけでなく全身ボロボロで、顔にも切り傷が数箇所見られる。私の視線に気付いたのか、そのヒーローはこちらに顔を向けるなり手袋をはめた手で私の頭にそっと手を置いた


「さっきも言ったけど大手柄だよ
えっと…名前何て言うの?」

『… ひかり』

「 ひかりちゃんは強いね
オレがもしキミと同じ年齢で同じ場面に遭遇してたらあんな風に手を差し伸べられたかどうか」

彼がどんな人かは知らないけど
この人は絶対に差し伸べると直感した

『……あんな風って…見てたの?』

すると彼は「あ、」と小さく言い誤魔化すように笑う


「 ひかりちゃんの行動が余りにも年齢離れしてたからつい見いちゃってた。それに必ず助けるつもりだったから」

なんとも言えないような気持ちになってつい口をもごもごさせるていると彼の手が離れていく

「…オレも消火活動手伝いますか」

彼の視線を目で追う。ようやく何人かヒーローが到着して救助活動を得意とするヒーロー中心に消火活動を行っている

「つってもオレあんま力になれなそー」


ケロッと笑う彼は、お手上げと言う風に両手を外に出す
あれだけ沢山の人を救って、傷を負って
それでも、行くんだ

本当はもっと立派であろう翼を背負っている背中を見つめる




『……必ず…助ける』


夢は愚か私の人生に目標なんてものはなかった
芽生えてしまった思いは消すことは出来ない
抱いた憧れは強い情熱へと変わる


私の憧れはウィングヒーローホークス


これが彼と私の出会いで
そして私がヒーローを目指すきっかけには十分すぎる出来事だった

/ 184ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp