第4章 𝕂𝕒𝕝𝕒𝕟𝕔𝕙𝕠𝕖 𝕦𝕟𝕚𝕗𝕝𝕠𝕣𝕒
『…助けてくれて…ありがとう、かつきくん』
私はこの日初めて自分の個性で傷を癒やすことを出来ることを知る
勝己くんも驚いてたけど、私自身も驚いた
彼の塞がった傷を見ながらも、私は決心する
大切なひとだからこれ以上傷つけたくない
お母さんに掛け合って私は福岡へと転校することにした
勝己くんには言わなかった
寂しくなるし、何よりわたしを今まで守ってくれた彼に申し訳なかったから
私は彼との思い出に蓋をした
彼を求めないように
だけど願わずに入られなかった
勝己くんにまた逢えますように .。
全身に鈍い痛みが走るものの、思ったほどの衝撃が来なかった
固く閉じていた目を開き、その状態に驚く
私は仰向けの状態の爆豪くんの上に乗っかている状態だった
爆豪くんの手が私の肩と腰に回されており
落下寸前に衝撃から守ってくれたのだと悟る
「いつまで乗っかてんだよ」
爆豪くんの声に慌てて上から退き、その場で正座をする。ゆっくり起き上がった彼は、軽く舌打ちをしたあと下唇に立てた親指を当てた
私は彼に詰め寄りあぐらの中に入り込む
「はってめェ」
『唇切れたの??いま落ちた時にだよね』
爆豪くんは隠したつもりだったかもしれないけど私は見逃さなかった。彼はバツが悪そうにそっぽを向いてしまうから、私はムッとしてその下唇に指を伸ばす
「っ…!」
下唇に人差し指を添え、抑えたところから微量の光が漏れ出す
爆豪くんは一瞬警戒を見せたけどすぐに解き、黙って私の様子を見届けていた
私は切れた唇が綺麗に塞がったのをみて満足そうに微笑む
爆豪くんはその治りたての唇を不器用そうに動かす
「……あんがとよ」
私は無性に嬉しくなった
心の中から噴水が湧き出て、全身に飛び散っていきそうなくらい。そして自然と私の言葉は溢れていた
『一緒に雄英に行けてよかった
全っ然変わらないね』