第4章 𝕂𝕒𝕝𝕒𝕟𝕔𝕙𝕠𝕖 𝕦𝕟𝕚𝕗𝕝𝕠𝕣𝕒
何かと理由をつけて、USJ以降まだ一回も二人で帰っていない
今回のお茶子ちゃん達との特訓だって、それを言い訳にして彼と距離を置きたいという本音が隠れてる
『………今のままじゃダメだよ』
このおかしな気持ちを早くどうにかしないと
せっかく近づいた彼との距離が振り出しに戻ってしまう
きっと私は彼が"守ってくれる"という言葉に入り浸たり、その甘えがこの気持ちを引き起こしてる
…轟くんは弱い私を見兼ねて言ってくれただけなのに…それに甘ったれようなんてどこまで浅はかなんだろう
『やっぱり守ってもらうだけの自分にはなりたくないっ』
轟くんが強いと言ってくれた自分になりたい
だって…次は…私が
「具合わりぃのか?」
その声の人物が誰なのかすぐに頭は理解し、私は慎重に顔を上げていく
私を見下ろす瞳は柔らかくて、首を横に傾げさせこちらを窺っている
数秒目が合うだけで胸がギューと掴まれた気持ちになり
思わず重なったばかりの視線を逸らしてしまう
……あぁ…感じ悪くなっちゃった……
轟くん…嫌な思いしてないかな
そう思いつつも再び彼を見る勇気は残ってない
轟くんは私と同じ高さまでしゃがみ込み、ますます語彙を強くさせ心配そうに声掛けてくる
「 秋月 本当に大丈夫か、腹いてぇのか?」
見当違いの彼の掛ける言葉に申し訳無さでいっぱいになる
否定しないと…心配かけちゃだめなのに
なのに余りにも近い彼との距離に顔を上げようにも上げられない
轟くんは私の目の前で同じようにしゃがみ込んだ挙げ句、顔を覗き込もうとしてくるのだ。今の私にはその行為がこのもどかしい気持ちを悪化させるのに最適だった
『…ぁの、とど…ろきくん…』
「なんだ…どうした?」
轟くんは私の声に耳を傾けようと更に距離を詰めてくる。私は驚いて小さな声で悲鳴を上げてしまう。手を伸ばせばいとも簡単に触れられる距離になった時、彼の手が私の額に当てられる
『ひゃっ』と声が溢れたのと同時に私は俯かせていた顔を上げた。その瞬間轟くんが顔を寄せ、前髪を上にどかされ剥き出しになった私の額と、自身の額をくっつける