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花水木が咲く頃に ꕥヒロアカꕥ

第3章 𝔸𝕘𝕒𝕡𝕒𝕟𝕤𝕒𝕤𝕦




惜しむ間もなく個性を酷使すぎたせいで
普段とは比にならない疲れが押し寄せてくる

『……死ぬかと思ったよぉ』

向こう側へと近付き、傾斜を覗き込むように轟くんの方を見下ろす…なに話してるんだろ?

あらかた聞きたいことが聞けたのか
轟くんは立ち上がり私の方まで登ってくる

目が合い戻ってくる彼の表情が少し緩んで見えたのは都合のいい思い込みということにした






「…………油断しすぎだよぉ、キミさぁ」

「 秋月 !!」

『…なっ…んん!』


轟くんとの距離が僅か5メートルというところで私の首に固く太い腕が巻かれる。緑青色の腕に小さくギザギザした円錐の形をしたものがいくつも生えていた
……異形型の個性…!

「このイカしてる子君のカノジョか何かかなぁ
まぁどっちにしろ俺に近付いたらこの子のこのほっそ〜い首を裂いちゃうから」

「…随分下劣なやり方すんな」

「いやー君ほど強いとしょうがないよねぇ」


轟くんは唇を噛み、恨めしそうに私の背後を睨んでる。抵抗しようと腕を掴もうとしても鋭く尖った出っ張りに手をかけようにもかけられない

…どうしよう…私…足手まといになってる
助けてもらってばかりの挙げ句、"荷物"になってる…






゛ 秋月 ゛



私は名前を呼ばれたわけじゃないのに
伏せかけていた顔を上げ彼を見た
まっすぐとした私を安心させてくれるような瞳に心がじんわりしていく

……どうしようなんて、何言ってるの
この状況を自分で打破しないと


「分かった、動かねぇからどうすればいい」

「そうだなぁ…それじゃ」


私は手のひらに力を込める、腕は掴めない
なら…私は手を出来るだけ上にあげ自分と巻き添えで太陽高度を放つ


『…んっ!!』

「がぁ!!!」

目を瞑っていても眩しくて、瞼が焼けるように痛んだ。悪い人は直接目に浴びてしまってようでジュー…と眼球が少し焦げた音がした


「ふ、ふざけやがって!!!!」

怒った悪人は私の首に巻いていた腕を思い切り引こうとする
押し付けられた尖った角が浅く食い込みそのまま皮膚を切る


歯を食いしばり痛みに耐える
引き裂こうとする腕が止まり、気付けば背後から冷気が漂っていた。顔を後ろにすればそこには頭のてっぺんさえ見えないくらい凍った"塊"があった
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