第3章 𝔸𝕘𝕒𝕡𝕒𝕟𝕤𝕒𝕤𝕦
「…あ?」
私の視線を感じ取ったのか爆豪くんが顔を横にする。尖った目つきが私を刺すように向けられる。低く小さないかにも不機嫌さが読み取れる声音に反射的に体が強張る
『おはよう、ば…爆豪くん!』
極めて明るく言い放ち、さっと緑谷くんの方へ振り向く
背後から感じる負のオーラに寒気がした
午前中は必修科目の授業で、中学と同じように勉強をして昼は食堂で食べる。緑谷くん、飯田くん、そしてお茶子ちゃんに誘われ四人で昼食を取った
そして、午後はヒーロー基礎学
あの平和の象徴オールマイトが直々に授業してくれる
生で見たのは初めてで普段より気合と緊張が入り混じっていた
そのせい、とは言いたくないけど
実際空回ってばかりだったかもしれない
せっかく個性の活かし方を見つけたのに
実際応用するとなると判断力に欠けてしまう
コスチュームの方はないとあるのとでは全然違った
太陽高度くらいになると平気で自分の目を失明させてしまう恐れがあったので目元保護用シールドは本当に便利だなと思った
(カチューシャの横の小さなボタンを押すと顔を覆ってくれる透明なシールドが出てくれる)
コスの素材には光を反射する「オーロラリフレクター」を使っていて
動きやすさ重視のショートパンツ
太ももには光子を纏わせライトセイバーにするための持ち手の部分を武器にできるように常備している
『やっぱり近距離戦もある程度出来るようにならないと…』
戦闘訓練を終えてネクタイを首に通しながら呟くと、隣でブレザーを羽織りながらお茶子ちゃんが言う
「じゃあ逆に私は遠距離戦頑張らんと…!」
口調は明るさを帯びていたがどこか噛み締めているような表情にお茶子ちゃんも今日の反省を強く受け止めることが伝わった
着替え終わった後教室に戻ると轟くんの姿はなかった
…もう帰っちゃったかな、約束をしていたわけじゃなかったから何かいう資格はないけれど…
まだ近くにいるかもしれない
私はクラスの皆に挨拶して早々と廊下を走った
玄関を超えた先で2つの影が向かい合ってることに気付く
どうしてか私は咄嗟に身を隠してしまう。ひょこっとガラスドアから様子を覗く
ガラス越しから見える景色はオレンジかかっていて見えにくいため目を凝らす。あれ…緑谷くんと……爆豪くん!!??
なんであの二人が一緒にいるの??
