第2章 ℍ𝕒𝕣𝕕𝕖𝕟𝕓𝕖𝕣𝕘𝕚𝕒
数秒間、私と彼は視線が重なったまま動かなかった
…まただ、緑髪の彼のときと同じ
制服の上から自身の胸元の布を握りしめる
この物懐かしさはなんだろう
私を見つめる彼の視線もまた私と同じ気持ち何じゃないかと感じた
けどそれは眼鏡をかけた七三分けの彼によって途切れる
「ハッ!俺は私立聡明中学の…」
「聞いてたよ!あ…っとボク緑谷
よろしく飯田くん…」
「緑谷くん…君は…」
いつの間にか目の前に来ていた"飯田くん"と緑谷くん(って言うんだ…)が何やら実技試験の時を話していてそっちに意識が奪われる
「悔しいが君の方が上手だったようだ!
……ところで君の名前と出身中学はどこだい!」
角張った主張の激しい手の動き私へと向けられる
急に寄越され思わずごもってしまう
『え、っと!私は 秋月 ひかり!
中学は福岡の方の通ってたんだ』
声上ずってなかったかな…!内心焦る私に飯田くんは「そんな遠くから来たのか」と関心そうに頷いてくれた
「 秋月 さんって言うんだね、よろしく」
『うん、緑谷くん…だよね、よろしくね!』
緑谷くんの雰囲気柔らかくて安心するなぁ
緊張が解れてきたとき
「あ!そのモサモサ頭は!!地味めの!」
可愛らしい女の子が両手を上げてドアの前に立っていた
いい子そうでポワポワした彼女の雰囲気にまた心が綻ぶ
飯田くんも怖いなんて思ってしまったけど
彼の真面目なとこに緊張してしまっただけだ
「ところで…そこのめっちゃ可愛い子は!!」
『え…わたし…?』
差し出された視線が自分に向かってることに気づき思わず首を傾げる
「そうそう!女優さんかと思ったよ〜
名前なんて言うん?」
『 秋月 ひかりだよ
好きに呼んでくれれば嬉しいかな』
「じゃあ ひかりちゃんだね!
私は麗日お茶子、これからよろしく!」
お茶子ちゃんと話してると癒やされる〜
肩の荷が降りそうになったときだった
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」
やる気のない声音が私達の会話を終了させた
声の方へ振り向くと寝袋に包まれた大人が寝転がっていた
「ここは…ヒーロー科だぞ」
なんか!!!いるうぅぅ!!!