第9章 𝕎𝕒𝕥𝕖𝕣 ℍ𝕪𝕒𝕔𝕚𝕟𝕥𝕙
『言ったでしょ?今日はずっと一緒ににいるってさ』
コクンと頷いたのが分かった。ジャケット越しに感じる温もりが愛おしくて、本能のまま欲情しそうになるのを耐える。…この流れで、それは、ないっつーの!
「…キャッ…!」
『…っと!』
重心が後ろに崩れ、 ひかりちゃんを押し倒してしまう。見計らったような展開に内心焦るけど、彼女はオレを見つめたまま、嫌がる素振りを見せなければ微動だにしない。
……いやむしろ
はじけたように思考を取り戻した ひかりちゃんが慌てて声を張り上げる。
「あ…わ、は、早くどいてよ…」
起き上がろうと、シーツに置こうとする両手首をつい抑えつける。驚いた ひかりちゃんがその真ん丸な瞳でオレを捉える。
『 ひかりちゃん、オレのこと好きなの?』
言い終えたあとに軽く後悔に襲われる。自分で言うとか恥ずかしい上にイタすぎる。
それでも聞かずにはいられなかった
今日のプリクラもそうだけど
切なそうに垂れ下げる眉
羞恥に溢れた表情
白い頬には桜が満開に咲き誇っている
それからオレを見る目がいつもより
熱かった
「…そ、…そ…」
『そ?』
こげん ひかりちゃん初めて見た…
泳がせた目に、桜から林檎に変わる血色。分かりやすくテンパってるし…いやまさか
視線を捕まえようと鼻先ギリギリまで顔を寄せれば、「ヒッ…!」と声を漏らして固まる。
ヤバい…これ
『……プッ!』
「!!な、なー!?//」
『…ごめ…ククッ…だっ…』
かわいすぎでしょ
ツボに入ってたまらなく声をあげて笑ってしまう。その際に手を離してしまい、起き上がった ひかりちゃんが抗議の声をあげる。
「ちょっと!ねぇ!笑いすぎだし!
そもそも啓悟くんがあんなほ、ホスト?みたいなことするからじゃん!」
『ハハハ…ま、ホストって…ハハハハハ』
「最低!啓悟くんはそういうことしないって思ってたのに…」
『なぁに甘ったれたこと言ってんの、オレだって女のコとやることヤるよ』
「〜〜っもう近寄らないで!」
ベッドから逃げようとする ひかりちゃんを背後から捕まえて、その唇に口づけを落とす。味わうように唇を動かしそのまま再びベッドに組み敷く。