第9章 𝕎𝕒𝕥𝕖𝕣 ℍ𝕪𝕒𝕔𝕚𝕟𝕥𝕙
《ホークスside》
『ノーコメントで、オレにとっては任務より大事な一分一秒なんで』
しまった
ひかりちゃん消えてるし
剛翼をいくつか飛ばして探りながら適当にインタヴュアーをあしらっていく
息遣い、歩くときの歩幅と靴音、心拍音、髪が靡いて擦れる音
ひかりちゃんのだけ耳に染み付いて区別できてしまう自分が相当ヤバいヤツって自覚がない訳じゃない
こんなの恋とか愛じゃ言い表せなくて
どんな言葉が似合うか昔なんかの潜入捜査中に頭を捻ったことがあった
あぁ____" 洗脳 "
脳がバグってんなら既に手遅れってことでしょ
「そんなに…瀕死の状態のご友人がこのショッピングモールで拉致されているとか、でしょうか?!」
これまた素晴らしい想像力をお持ちで…
『まぁ、そんなとこデス』
いた!けど誰かと一緒にいる…
声音と大まかな体格の把握で予想がつく。
…やっぱこげなとに構わなよかった
『スンマセン、ちょっとそろそろヤバいんで!』
ギャラリー集団から姿を消して、急いでショッピングモールの外へと出る。
さっきのインタヴュアーだけじゃない、みんな何かしら勝手に想像し自分にとって都合の良い人物に作り上げようしてくる。信仰する対象であればあるほど
その想像から外れた行動を取れば批判され、逆に応え続け振り回されるヤツを何人と見てきた。
『…メンドくさっ』
ひかりちゃんはオレに何も期待してこないし、そのままのオレを受け入れてくれる
大人にならざるえなかったオレが無邪気に笑ってられる唯一無二の" 居場所 "なんだよ
今じゃなくてもいい
いつか、その花がオレに向かって咲いてくれればそれでいいから