第1章 𝔸𝕗𝕣𝕚𝕔𝕒𝕟 𝕔𝕠𝕣𝕟 𝕝𝕚𝕝𝕪
『あの…これは一体…』
「目を痛めないように光を遮断してんの」
『…それって啓悟くんの太陽みたいな笑顔のこと?』
「はぁ!?」
ようやく視界が戻ったと思えば啓悟くんは口を少しムッとさせたあと、力なく息を吐いた。
「… ひかりちゃんオレをおちょくるのが上手になったよね」
『別におちょくってるつもりなんか…
本当にそう思ったから言っただけだもん』
「マジ?」
『大マジ!…ふふっ』
暫くして沈黙が訪れる、けれどそれは決して気まずいものじゃない
当分見ることの出来ないお互いの顔を脳裏に焼き付けてるだけ
寂しくならないように
『…啓悟くんそろそろ戻ったほうがいいんじゃない?みんないつも勝手にいなくなる啓悟くんを探してるよ』
啓悟くんは…
ウィングヒーローホークスは私だけじゃない
皆のヒーローなんだよ
「そうだね、けどこれだけは覚えといてよ
オレは ひかりちゃんの身に何かあったら他人を犠牲にしてでも飛んでくる」
「オレはいつでも ひかりちゃんの味方だから」
ああ、やっぱり眩しい
この光に私は何度も助けられたんだ
『返し方に困る!他の人は絶対に犠牲にしないで』
「うーん、参考程度に考えとくよ」
『他の人を最速で救って…
それで私を迎えに来てくれる…?』
「…………」
「必ず迎えに行く、そんで二度と離さない」
啓悟くんと離れるのはものすごく寂しいけど
私は雄英にいって自分の力でこの夢を叶えて成し遂げたい
まだわたしは何もない"空っぽ"の自分のままだから
でも本当はきっと他にも去りたい理由がある
自分でもよく分からないけど…
啓悟くんの側に居続けるときっと辛くなる
何かが私にそう思わせた