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花水木が咲く頃に ꕥヒロアカꕥ

第8章 𝕊𝕦𝕟𝕗𝕝𝕠𝕨𝕖𝕣





『…勝己くんごめん、もういいから
ふ、ふたりとも私のこと気にしなくていいから…!』

なんてヒロインゼリフなんだろう、と思ったけどそれどころじゃなかった
勝己くんから体を離して、出口へ走って逃げる

「…なんだか気になる展開だが…
三角関係とトーナメントはひとまず置いといてイッソ束の間楽しく遊ぶぞレクリエーション!!」

会場とつなぐ廊下にしゃがみ込みながら遠目にマイク先生の声が耳に飛び込んでくる
…レクリエーションどころじゃないよもぉ

いつまでそうしていただろうか
レクがとっくに開始されてもなおうずくまり、顔を膝に埋めていた

「お腹いてぇの?」

前にも轟くんがそんなこと言って声をかけてくれたことをつい思い出す
ゆっくり顔を上げると、やっぱりそこにいたのは上鳴くんだった

『…痛いのはどちらかというと頭だね』

「あ〜あ、そうだよなー
クラスのツートップにあんなふうに攻められちゃなぁ、そりゃあ頭抱えるわ」

『…そんなんじゃないって
上鳴くんはこんなとこで何してるの?』

「オレはこのあとレクの借り物競争に出んのよ」

『…借り物競争…?』

首をすくめてると彼は会場を指差す、ここからでも大玉転がしに参加してる生徒がちらほら見える
この次の競技が借り物競争だそうだ

『へぇ…でも上鳴くん、最終種目進出だよね?
レクやるんだ!』

「別にやってもいいらしいしさ、せっかくだし楽しんだもんがちじゃん」

ニッと歯を見せて、手を差し出してくれる上鳴くん
彼が言わんとすることがわかって、一度考えそれから苦い笑いしてみせる

『でも…この格好じゃ…』

「いいって、その格好のほうがオレら男子は燃えんの」

なにそれ、といって笑って上鳴くんの手のひらに自分の手を重ねる
ぐいっと引っ張られ、腰が浮き再び会場に戻る



「借り物競争に参加の方はこちらに並んで待機してくださーい!」

私と上鳴くんは待機列に並んでしばらく他愛のないことを話し時間を潰す
いよいよ始まり列が動き出し、上鳴くんとは別のレーンになってしまう

「…よっしゃ、オレ ひかりちゃんが見てるからには絶対に一位になるわ」

『上鳴くんだし敢えて三位とかのほうが面白いかも?』

「ちょービミョーじゃん!」
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