第8章 𝕊𝕦𝕟𝕗𝕝𝕠𝕨𝕖𝕣
ガッと肩に手を回され、抱き締められる
彼の体温と自分の体温が混ざり合うのをはたに感じながら呑まれそうになる自分がいる
「…まだ跡残ってンな」
チリっと首筋に痛みを感じて、目をギュッと瞑る
昨日残された噛み跡に再び歯を立てられ、痛みになれずうっすら涙が滲む
『ねぇ…なんでっ』
「喋んなって言ってんだろうが…
こんなん触ってくださいって言ってるようなもんなんだよ」
顔を上げた勝己くんはこっそり私の服の中に手を忍ばせる
彼の手が服の中で、もぞっとしたのをきっかけにいま自分たちがどこで何をしているのか冷静になる
…勝己くんの体が覆ってるから周りからは見えてないとしても、こんなとこで…まずい…!!
止めようと中に入った手を取り出そうとするけど、無駄で、勝己くん完全に入ってる…
彼の息が上がってて周りが見えてないことは明確で、私しか見えてない猛犬的な甘い瞳に心が流れそう…
顎を掴まれ、無理矢理顔を上げさせられ顔が近づく
今度はいきなりでなければ来るって分かってたのに私は目を閉じてその感触を待ちわびようとした
「いい加減にしろ」
冷水を頭からかけられたような気分で、全身が冷えて震えるのを感じた
怒気を含ませた低い声は轟くんで、勝己くんと私の前にそびえるように立っている
「ここで轟登場だー!!これぞ修羅場じゃねぇか!
さぁー! 秋月 どっちに傾く!??
ってか相澤、お前のクラスほんっと色んな意味で進んでんな…」
「オレも知らなかったよ、お前も実況してないで止めさせろ」
私に伸ばす轟くんの手を勝己くんが片手で振り払い、おぉっとどよめきが起こる
轟くんの目元が余計険しくなり雰囲気は最悪だった
…違う…誤解なの
誤解って
何が??何が誤解なの?
轟くんとは別に付き合ってるわけでもないのに…
「 秋月 から手ぇ離せ」
「てめェの指図は受けねぇ
てめェじゃコイツの顔曇らせるだけだろ」
まだ絡めている手にギュッと力が込められ、ハッとする
勝己くんは私が何が言う前にすぐに行動に起こす
でもそれはいつも
私のためだった