第8章 𝕊𝕦𝕟𝕗𝕝𝕠𝕨𝕖𝕣
尾白くんが辞退して各々くじを引き終え、組み合わせが発表される
『…青山くんとだ』
自分の相手を確認したあと自然と知ってる人の名前に目が行ってしまう
…轟くんは瀬呂くんと、そして、勝己くんは…
『お茶子ちゃん…?』
「麗日?」
声が重なり振り向くとそこには勝己くんが立っており、彼も私に気付いて隣へと移動してくる
…勝己くんとキス、したのは初めてじゃないのになんでこんなに意識しちゃうの
「おいッ」
『な、なに!』
自分の上ずった声が余計に居心地の悪さを後押ししてしまった気がする
声の方に顔を向けられずひたすらトーナメントの名前を目でなぞる
『…ぇっ』
右手に温かい感触が流れ込んでギュッと指を絡めて握られる。ジリジリとした蒸し暑さの中に、内側から溢れ出る熱を感じる
握りあった手ごと勝己くんの方に引っ張られ、顔が彼の胸元にぶつかる
『…あ、勝己くっ…なに』
「うっせ、喋んな」
えぇぇ、困ったような顔で彼を見上げると片手が伸びてきて耳元に添えられ、その手で再び彼の胸元まで押し付けられる
『…ね、ぇ』
「_________おーっと!最終種目前に何やらイチャついてる奴らがいるぞ?!」
マイク先生の声が自分たちに向けられていることに数秒時間がかかり、周りのどよめきと晒される視線にますます顔に血が集まっていくのがわかる
『ねぇ、ちょっと…!』
「似合ってねぇんだよ」
…?なんのことか分からなくて、とりあえず離してくれと言わんばかりに腕を動かして暴れる
普段ならこんなこと怖くて彼にはできないけどそれどころじゃない、会場の様子を映すビッグモニターに私達がまるまる映り込んでるのを見てしまえば気が気じゃない
「痴女みてぇな格好しやがって」
『は、はぁ?!』
なんかしっかりとした意味はわからないけど失礼なことを言われたのはよく分かった
まって、似合ってないって…自分の格好を眺める
V字でノースリブで、しかも今にもお腹が見えそうな丈の短いトップス
少し飛び跳ねただけで中が見えるギリギリを狙ったミニスカート
改めて指摘されると無茶苦茶恥ずかしくなる
赤面していく私に容赦なく、勝己くんは手首を掴み上げる
逸らしたくても目が合い、私をまじまじとみつめる彼の視線に焼けてしまいそうだ