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花水木が咲く頃に ꕥヒロアカꕥ

第1章 𝔸𝕗𝕣𝕚𝕔𝕒𝕟 𝕔𝕠𝕣𝕟 𝕝𝕚𝕝𝕪


《 ひかりside》



『わ、窓開けっ放しだ!』

ホークスに降ろしてもらうなり慌ててカーテンを締め窓を締める
うわぁぁ…部屋の中丸見え…

「何やってんの、まぁオレみたいに飛べるやつじゃないと部屋ん中見えなかったと思うけどね」


『それも…そっか』

私の家はいわゆるタワマンでそれなりにフロアも高いから覗こうにも覗けない…ホークスを除いてだけど

「あ、そーだこれ渡そうと思ってんだよね」

やたらあっさりした口調だったから私も『なにー?』と返したら


「雄英合格、おめでとう
オレくらいの立派なヒーローになれるよう頑張ってきな」


手に持たされたのは私の胸元を覆い隠すには充分な花束だった
いつもなら『自分でも言う?』や『どこから出したの!』などと返すところなのに息するのさえ忘れたみたいに言葉を失った

その色とりどりの花の神秘さに思わず目を奪われていたのもあるし、何よりホークスが私に花束をプレゼントしてくれたことが嬉しくしょうがなかった

『これ…いいの?』

「うん、嬉しい?」

『もちろんだよ!!こんな綺麗なブーケ私には勿体ないくらい!』


興奮のあまり包装紙をきつく握り締め、くしゃくしゃにしてしまうところだった。ただでさえ幼いと周りから言われているのに我を忘れてはしゃいでしまった。
包み込むように丁寧に持ち直す

「ちなみ花の種類言える?」

『流石に分かるよ
これはチューリップで、こっちはスイートピーでしょ
それでこれは…』

名前の分かるものから順々に唱えていく
途中で見覚えのある花に意識が向かい黙る
それは中心に生けてあり、赤とピンクと白で構成された色彩に茎にいくつもの花を実らせ、この一つの空間で圧倒的な存在感を醸し出している


『…きれい…これ前にホークスが花畑に連れて行ってくれた時に咲いてたのだよね』

名前はわからなかったけど、とても印象的だったから覚えてる
色はこれ以外にも多種で、ぷっくりとした控えめな蕾から想像もつかない大きな花を咲かせる

今は小さい存在でもいつか誰かにとって大きな存在になりたい
この花を見たとき…私はホークスの隣に…







あれ?私…今…なんでホークスのこと…



「それ何の花か知りたい?」

ホークスの問いに我に返る
不明確な疑問を頭の隅に追いやり、無理やり考えるのを放棄した
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