第6章 𝔽𝕠𝕦𝕣 𝕠'𝕔𝕝𝕠𝕔𝕜
じゃあ…私は…轟くんを通して何を見てるの…?
この違和感が本当なら私のこの気持ちは全部偽も…
「三奈ちゃんの言ってること難しい〜!
ひかりちゃんが混乱してまう!」
お茶子ちゃんの声に我に返る
なんとか口元に笑みを作り、全て隅へと追いやった
『ほんとだよっ、いきなりそんな事言われても困る!』
「だってはっきりしないんだもーん轟ー
もどかしいじゃん!」
「もーうちらの役目は ひかりちゃんと轟くんを見守ることなんだよ!」
「オレと 秋月 がどうかしたのか?」
ピャッと小さく叫んだお茶子ちゃんに続いて出そうになってしまう
お茶子ちゃんの隣に立っているのは紛れもなく轟くんだった
固まったお茶子ちゃんを横目でみたあと轟くんの視線は私へと降り注いだ。肩が跳ねそうになり、足の向きを変えて逃げ出したい衝動にかられる。
それくらい真っ直ぐで拒めない視線
『あ、えっと…轟くんっ今日一緒に帰らない?』
さり気なく話を変えるために言ってみる
改めて誘うのはなんだか照れくさい
「あぁ
オレも 秋月 と一緒に帰りてぇ」
やばい恥ずかしい……!!
顔を赤くなるのを必死に堪えて、早く切り上げようとする
『ありがと、!じゃ、じゃあまた後でねっ』
また後で、の意で片手を上げて振るとその手を掴まれる
驚く間もなく轟くんの顔が横に降りては耳元から潜めた声が漏れる
「…かわいくて食っちまいてぇ」
心臓が突き上げられたように跳ねて
叫び出したい気分になる
さっきのモヤモヤなんてもう頭になくて目の前の彼でいっぱいだった
顔を見せず轟くんは私達から去っていく
「キャーー!轟くん大胆やん!」
なんて言ったか二人には聞こえてないと思うけどなんとなく察したのかもしれない。三奈ちゃんはあんまりスッキリしない顔をしていて何か考え込んでるようだった
『あ、わたしちょっと…外の風当たってくるっ』
さっきの出来事で頭はぽーっとしてるのに対してどこか冷静な自分もいる
彼を信じたい
『…ったぁ…!』
「おいどこに目つけて歩いてんだよッ」
声だけで分かる
尖った言い方なのにその声音に笑みを溢す自分がいた