第6章 𝔽𝕠𝕦𝕣 𝕠'𝕔𝕝𝕠𝕔𝕜
「でもそれってさーーなんーか違くない??」
体育祭前日
教室の空気はなんとなく緊張感が走っていて引き締まってる中、私達を取り巻く空気は緩みきっていた
私の机に肘を立てて上目でこちらを見る三奈ちゃん
その真っすぐな瞳に思わずウッと声が出そうになる
彼女とは打って変わってお茶子ちゃんは頬を緩め顔を上気させてる
「何が違うん??やっぱり轟くんて ひかりちゃんのこと好きなんだ!」
「んーーでもなんか引っかかるって言うかーんーー」
私は昨日の出来事ところどころ端折って二人に話したのだ
安らぎでいっぱいだった胸は三奈ちゃんの一言に温度が冷えていき
変な焦燥感が私を取り巻く
「ってことは ひかりちゃんと、轟くんは付き合ってるの?」
付き合う…?
そういうことは考えてなくて頭になかったかも
私はただ轟くんにとっても当たり前のことじゃなく"特別"なことなんだって知れて、
゛同じ気持ち ゛なんだと…
同じなのだと
「轟はさ 秋月 のこと好きだって言ったの?」
また" 好き "って単語
そんなの言ってないよ、だって
『だってっ轟くんの気持ちはまだ形になってなくて…私は待つって決めたからっ』
「それはほんとに 秋月 と同じ気持ち?」
はっ
気がつけば顔がひどく引き攣ってることに気づく
私を見つめる二人の顔は心配そうに眉を垂らしてる
もし待って、彼の出した答えが"好き"とは違う形だったら…?
そもそも私自身の気持ちだってあやふやで、よくわからないのに
怖い
「ごめん!気になったからつい言っちゃった!
轟にもなんか事情があるのはわかったよ?
でもさ 秋月 、相手を大事に思うって別に恋じゃなくてもあると思うし、"温かくて安心する"だよね?」
ジェットコースターが上まで登っていくような気分だった
上がるたびに心臓の音が大きくなって、落ちることがわかっていてそこにいる
「お互い相手を通して、別のものを見てるような気がするんだよなー」
『…べつの、もの』
゛雰囲気が…どことなくお母さんに似てると思った
初めてあったときも、一緒に帰るようになってからはますます ゛