第6章 𝔽𝕠𝕦𝕣 𝕠'𝕔𝕝𝕠𝕔𝕜
離れようとした体を強引に押さえつけられさっきより密着し、匂いが近づく。強引に顔を上げられ色っぽい彼と目を合わせる
…そんな甘い声で言われたら拒めない
つま先を上げなくても屈んで合わせてくれる
窓から漏れる光は赤やオレンジ、ピンクを混ぜたような綺麗な色で、私達を照らす
私の好きな色だ________
" オレは ひかりちゃんの身に何かあったら他人を犠牲にしてでも飛んでくる "
" オレはいつでも ひかりちゃんの味方だから "
" 嬉しいけど!他の人犠牲にしないで "
" うーん、参考程度に考えとくよ "
" 他の人を最速で救って…
それで私を迎えに来てくれる…? "
「… 秋月 ?」
『…ううん、なんだか切なくて』
空気をめいいっぱい肺に吸い込んで、力なく笑う
溜まっている涙を轟くんが優しく掬い取ってくれる
届いた背中
届かなかった背中
追いかけてくれた人
何かが吹っ切れたような不思議な感覚だった
『…轟くん、私を離さないでね』
何も考えず、するりと出てきた言葉で
胸のなかに違和感を残した
そのあと私達は帰路についた