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一期一会【鬼滅の刃 不死川実弥夢】

第9章 柱稽古……とは?そして…


翌日――。

飛羽と実弥は、産屋敷邸を訪れていた。

病の進んだお館様に、どうしても伝えたいことがあった。

「……お館様」

実弥が静かに口を開く。

「俺たちは、無惨との決戦で……お館様自身が囮になる必要はねェと思っています」

飛羽も続ける。

「お館様がいなくなることでしか、無惨を倒せないなんて未来にはしたくありません」

お館様は穏やかに二人を見つめた。

「二人とも……ありがとう」

優しい声だった。

「でもね。私の考えは変わらないよ」

「……!」

飛羽が息を呑む。

「無惨は、きっと私のところへ来る。だから、その時に私ができることをするつもりだ」

「お館様……!」

「飛羽。君が未来を知っているから、私を助けたいと思ってくれているんだね」

飛羽は俯く。

「でもね――」

お館様は静かに微笑んだ。

「私の命一つで、無惨を鬼殺隊の前へ引きずり出せるのなら……私は迷わないよ」

「……ふざけんなァ」

実弥が拳を握る。

「俺たちに、仲間を見殺しにしろって言うんですかァ」

「そうじゃないよ」

お館様は首を横に振る。

「私はね、皆に生きてほしいんだ」

飛羽の目に涙が滲む。

「でも……お館様が死んだら、無惨に使う薬だって……!」

言いかけて、飛羽は口を閉ざした。

お館様はすべてを察したように微笑む。

「飛羽。未来は一つじゃないよ」

「……え?」

「薬も、作戦も、その時に一番いい方法を選べばいい。君がここにいることで未来が変わるなら――それは悪いことじゃない」

実弥は黙ってお館様を見つめる。

そして、飛羽の隣に立った。

「……だったら、最後まで諦めねェ」

「実弥……」

「お館様の覚悟を無駄にはしねェ。だが、俺たちもテメェを死なせるつもりはねェぞォ」

飛羽も涙を拭う。

「……あたしも、最後まで足掻く」

お館様は二人を見つめ、穏やかに笑った。

「うん。それでいいんだよ」

二人は深く頭を下げ、屋敷を後にした。

――決戦の日は、確実に近づいていた。
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