第9章 柱稽古……とは?そして…
実弥と玄弥のやり取りが終わった後――。
少し離れた場所で、何人かの隊士たちが小声で話していた。
「……なあ、見たか?」
「見た。あの不死川さんを、飛羽さんが普通に止めてた……」
「しかも、あんな至近距離で……」
隊士たちはそっと二人を見る。
飛羽は何事もなかったように実弥の隣に立ち、何か話している。実弥も先ほどまでの怒気が嘘のように耳を傾けていた。
「やっぱり……あの二人、仲良すぎないか?」
「この前も一緒に稽古してたしな」
「不死川さん、飛羽さんの言うことだけは聞いてる気がする……」
その会話を聞いていた炭治郎も頷いた。
「確かに、飛羽さんは不死川さんを止めるのが上手ですよね」
「炭治郎、あれは『上手』ってレベルじゃないぞ」
「そうなの?」
「俺たちが何を言っても怒鳴られるのに、飛羽さんが止めるとすぐ止まるんだぞ」
「……確かに」
炭治郎は二人をじっと見る。
「やっぱり、二人からする匂いは似ています」
「また匂いの話かよ……」
隊士が苦笑する。
「でも、飛羽さんが不死川さんを止められるのって、きっとお互いを信頼してるからなんだろうな」
「信頼……」
炭治郎が嬉しそうに笑う。
「それなら、すごくいいことですね!」
「……まあ、そうなんだけどさ」
隊士が実弥を見る。
「俺たちも、飛羽さんみたいに不死川さんを止められたらなぁ」
その瞬間――。
「テメェらァ……」
「「「!!」」」
いつの間にか実弥が背後に立っていた。
「また人の話をしてやがるなァ?」
「ち、違います!」
飛羽が振り返り、吹き出す。
「ふふっ……実弥、人気者だね」
「どこがだァ!!」
隊士たちは思った。
――やっぱり、飛羽さんにだけは絶対敵わない。
そして炭治郎は、満面の笑みで頷く。
「やっぱり仲良しですね!」
「テメェ!!」
実弥の怒声が道場に響き渡った。