第10章 知らない女の子と五条くん
今度こそ悲しそうに目を潤ませた五条くんは、悲しみや鬱憤を晴らすように目の前の巨大パフェに食らいつく。
山のように聳え立っていたトッピングが1つ、また1つとブラックホールに吸い込まれていく。
「ハハ、やけ食いってやつ?似合うね、五条」
次は硝子が五条くんを茶化し出す。
「俺は寧々を独り占めしてぇのに!」
「パフェなら今独り占めしてるじゃないの。良かったわね」
「おやおや、私が一口もらってしまったから当分悟に独り占めはさせないよ」
「……?」
話題はみるみる崩壊していくパフェのはずなのに、夏油くんの視線は私に流れた。
急に注がれた視線にどうしたらいいのか分からず、隣にいた硝子にそのまま受け流す。
視線のバトンタッチは硝子が五条くんを見つめる事なくそのまま途切れて、気付けば夏油くんは運ばれてきたホットコーヒーを飲んでいた。
「スッキリしていて美味しいね。あ、悟、もう一口くれるかい?」
夏油くんがおもむろに伸ばしたスプーンを…
「傑にはもう渡さない」
五条くんは無限を使って阻んだ。
「俺のものに手を出すなよ。あの時みたいに」