第10章 知らない女の子と五条くん
「1人だけ仲間外れってのも可哀想だと思って。それにしても夏油、来るの早かったね?」
「皆で集まれる事が嬉しくてね。任務は既に片付いていたし呪霊に乗ってひとっ飛びだったよ」
4人がけのテーブル席…壁側には私と硝子、反対側に五条くんと夏油くんが腰を下ろす。
「あの時は寧々ちゃんと悟を乗せたけどね」
「あ、あの時は本当にお世話になったわ」
五条くんの示した「あの時」とは少しズレた時系列。
それでも同じ言葉で意味合いが通じるのだから、楽しい思い出というのはやっぱり特別なものね。
「寧々、後で詳しく聞くから」
「た、食べ終わった後に話すわ…」
食べ終わったパフェの空の器をスプーンでなぞる。
こそぎ取れたクリームをそれとなく食べる事で今だけはやり過ごせた。
そんな私達の真向かいで、夏油くんは五条くんの前に置かれた馬鹿でかいパフェに笑いを堪えながら、近くを通った店員さんに注文をしていた。
「あぁ、すみません、ホットコーヒーを1つ」
五条くんは溶け始めたパフェをようやく食べ出しながら、夏油くんに茶々を入れる。
……もちろん、スプーンはしれっと新しいものを使っていた。
「傑は硝子とお揃いだな」
「なんだい悟、私とお揃いにしたかったのかい?」
「俺はな…!寧々とお揃いにしたかったんだよ!それを硝子がっ…!」