第10章 知らない女の子と五条くん
「出ないわ…」
呼び出し音が流れて、そのまま録音メッセージへと切り替わった。
「寧々からの連絡も無視とか、あいつ何やってんだろうね」
硝子と一緒に周囲を見渡しても、それらしき人影はない。
髪が白くて背も高いから目立つ容姿の五条くんだけど、一体どこまで行ってしまったのか。
「さっきの人、超カッコよかったよねー!」
「ほんとそれ!モデルかと思った!」
「あ、本屋寄っていい?」
「いいよー」
通りすがりの女子2人組も吸い込まれた、本屋という時間を潰すにはうってつけの場所。
流行を抑えた雑誌コーナーに新刊の人気漫画コーナー、高校生が好みそうなエリアには見当たらない。
奥の専門書コーナーの隅々まで探すけど、やっぱりいない。
「もう五条置いていかない?」
「可哀想だからもう少し探しましょう」
お腹が空いたと言っていたから、レストラン街やテイクアウトができる飲食店に行ったのかしら?
「スイーツ男子っていいよな。豪快な食べっぷりだしよ」
「あのお兄さんとか、イケメンで大食いってギャップはモテるんだろうなぁ」
「お兄さんの食ってたモンブラン、つられて他の人達も注文してたよな」
「俺ら以外にも食べたいってなる人多かったよね」