第10章 知らない女の子と五条くん
レストラン街から歩いてきたらしい男の子2人組とすれ違う。
「…寧々、もしかしてだけど」
「硝子、私も思った」
「「五条(くん)のことじゃない?」」
夏祭りの時もそうだった。
胃袋が何個も必要になりそうな量をどっさりと買い込んでおきながら、そのほとんどを1人でペロリと食べ切ったのだ。
私や夏油くんの何倍もの量を軽々と。
「モンブランって言ってたよね?有名なお店なら2階の…」
移動する際に落とさないように、回収した呪物の入った瓶を右ポケットからショップの袋へと移し替えた。
こっちの方が不注意で道中に落とすことが無さそうだからね。
そして五条くんと思しき人物が目撃されたスイーツ店へ向かう。
「五条いなくない?」
「もう食べ終わって出たのかもしれないわね」
あれだけ分かりやすく目立つ五条くんだから、見落としってことはないと思う…のだけど。
「あの背高い子。顔もカッコよくてジャニーズみたいだったわ〜!」
「サングラスを選んでるってことは本当に芸能人なんじゃなーい?あらやだ、握手してもらえば良かった!」
「あんたはもう、ミーハーなんだから!」
「あんただってそうでしょ!あの子カッコいいわ〜って指さしてきて!」