第10章 知らない女の子と五条くん
頭の中でざわめきたった感情を整理するよりも早く、レジに向かってお金を払った。
店員さんが商品を硝子と同じ可愛らしい紙袋に入れてくれて、そっと手渡してくれた。
「ビビッときたんだ?」
「そ、そうかも…」
自分でも何が何やら分からなかったけど、左手に持った紙袋の中身は確実に私のもの。
「サイズとか合ってる?私が買ったのは問題ないけど」
「あ…っ、何も見てなかったわ」
慌てて中身を確認すると、普段履いているサイズよりも大きかった。
私には持て余すほどの大きさだ。
「……履けないことはないから、大丈夫」
「本当か〜?」
絶対に返品はしないと硝子に宣言して、五条くんを呼び戻すよう頼んだ。
「……あのクズ、出ないわ」
2、3回かけても電話の向こうは無言を貫く。
ツーツー…という保留音だけが虚しく流れた。
「寧々からなら出るんじゃない?」
「変わらないと思うのだけれど」
硝子に促されて、私からも電話をかける。