第9章 番外編/濡れてないと…
「そう…ね、確かにそうだわ。五条くんは特別なものを持ってるから。困ることなんてないのでしょう?」
「寧々が可愛すぎて困ることはあるけどな?」
「そういう話じゃないのだけど」
寧々は照れ隠しの為か、ふいっと顔を逸らした。
人間0.3人分の距離をあけて隣を歩きながら、不意に逸らした顔を覗き込む。
「ーーっ!」
寧々が物欲しげな目で俺を見ている。
俺の瞳に吸引力があると思わせるほど、俺の瞳を意味ありげに見つめている。
……睨んでいるとも言えなくねぇけど。
少し視線をずらせば寧々が欲しい俺のモノだって見えるだろうに、あえて視線を送らない…俺の瞳に訴えかけてるんだな。
大事に大切に…ゆっくりと進めていけたらいいと思ってたけど、急ぎ足も悪くないかもなぁ?
「五条くん、売り場はこっちのようだけど」
「あ?」
本当に急ぎ足になった俺は早々とドラッグストアに到着して、大人のイチャイチャコーナー…ひいては衛生用品のちょっとアダルトな一画に行こうとした。
それを後ろから呼び止める寧々は不思議そうな顔をしてるけど、俺の方が不思議で仕方ない。
「寧々が欲しいのはローションだろ?」