第9章 番外編/濡れてないと…
「五条くん、いつから聞いてたの?」
「そ、それはだな…「ドラッグストアの辺りからだよ。悟ってば寧々ちゃんと一緒なら何でもいいんだってさ」
濡れてないと入らない…のところからとは言えなかった。
あわあわする俺をよそに、そつなく答える傑。
こういう時、同じ秘密を共有する相手が頭の良い奴だと助かる。
俺は傑の出した助け舟に飛び乗って、ついでに大船に乗った気持ちで寧々を買い物に誘い出した。
「俺が一緒の方が寧々にとっても良いと思うけど?」
「そう…なの?外の掃除を終えたばかりで疲れているだろうけど…、今からお願いしてもいいかしら?」
案外素直に俺の同行を許可する寧々。
口には出さねぇけどカップルで選んだ方が楽しいもんな?
「任せろ、寧々。いつかはホンモノをやるからな」
「偽物もあるの?」
「寧々が今使っているやつがニセモノだろ。俺のがホンモノ」
とぼけちゃって、寧々ったら。可愛い、可愛い、ほんっとに可愛いねぇ!
「五条くんには必要ないと思うけど、使ってるの?」
「自前で事足りるんだよ、俺は」