第9章 番外編/濡れてないと…
「マジか…、俺は寧々を大事にすることばかり気にして、逆に寧々に寂しい思いを…!」
「早合点だよ、悟。もう少し会話を聞いてみようじゃないか」
傑はやけに落ち着いた様子で、前屈みの更に前屈みになる俺とは違って穏やかな顔をしている。
一方で心体落ち着いていられない…立ち上がるモノが抑えられない俺。
思春期男子としてどちらが正しい反応か、火を見るよりも明らかだろうな。
自分の反応が正解とは言わないけど、生物的にとか本能だとかそう言った物差しで言えば、俺の反応はごくごく自然だ。
『さっそく買いに行ってみるわね。ドラッグストアに売っているかしら?』
『売ってると思うよ。寧々、私も一緒に行こうか?』
『本当に…?嬉しいわ、硝子!あれ…でも、今日は医務室に呼ばれてたんじゃ…』
『そんなのサボってもバレないよ』
『他の方々に迷惑がかかってしまうわ。仕方ないけど1人で…』
早合点だろうが、行動を起こすなら今しかない。
今はただただこの行動を取って、寧々と一緒にいることが心地よい。
……そう、直感する。
「寧々!俺が一緒に買いに行ってやるよ!」