第8章 違う人と任務
舌足らずでふにゃふにゃした声も、幼い子供のような言葉使いもすっかり変わってしまい、
「奇異の目で見るでない。此の姿こそが我本来の大鯰よ。呪力が全快し姿も戻っただけじゃ」
「ハ◯?千◯千尋のっ、じ、じじいじゃねぇか!」
可愛らしいとはつゆとも言えぬその姿。
なまちゃんという名前も似つかわしくない、厳かで厳荘的な立ち振る舞い。
「な、なまちゃん…?」
あまりにも別物になってしまったような寂しさを感じながら、小さななまちゃんには感じなかった威厳がひしひしと伝わってくる。
「うむ」
「ふふ、本来の姿なら…穴に落ちたような錯覚を与えた上で、相手を強制的に転ばせることだってできるようだよ」
「いかにも」
まだ頭の中を整理し切れていない。
伝説の大鯰はそれほどまでに威力的で迫力がある。
「寧々はそんな術式なくても転ぶけどな」
「五条くん…?」
私を茶化す余裕があるくらいには、五条くんは現状を把握できているらしい。
でも私は…どうしても、なまちゃんを違う呪霊として認識してしまう。
……けど、