第8章 違う人と任務
「初めて会った生き物に好きも嫌いも「悟」
「だ、大好きだけど。もうめちゃくちゃ好き」
五条くんは言いかけた言葉を、夏油くんに嗜められて引っ込めた後に訂正した。
「よかった!じゃあ、あそんでくれる?」
「え?」
呪霊であるはずのナマズから、まさかの提案。
その場にいたナマズ以外の誰もが、再び首を傾げた。
遊ぶ=私達をいたぶって遊ぶ…ということ?
可愛い見た目をしていても、呪霊は呪霊ということ…かしらね?
でも…悪意や敵意は感じられない。
「あのね、ぼくずっとひとりぼっちなの。ずーっとまえにもあそんでほしくて、だだこねてたんだよ。そしたらね、にんげんがじしんだとかいってね、ぼくをやっつけちゃったの。ぼくはただ、にんげんとあそびたかっただけなのに。そんなことをおもってたら、じゅれい?になっちゃった」
人間の幼児と同じ辿々しい言葉違いながらも、ゆっくりと一生懸命に話す。
さっきの呪詛師崩れとは違って、長々と御託を並べているようには感じず、頑張ってお喋りをするのをあたたかく見守った。
もちろん、その話し方が時間稼ぎでないことも伝わってきた。
このナマズは…この子は……ただ寂しかっただけなんだ。