第8章 違う人と任務
「え?」「ん?」「あ?」
その場にいた誰もが首を傾げた。
確かに聞こえたはずの声は
「い、今の声…私じゃないわよ…」
「寧々ちゃんでもないなら、私でもない。悟の一人芝居かい?」
「は?何言ってんだよ。ここには俺と寧々と傑しか「いるよ」
「「「???」」」
舌足らずでふにゃふにゃした声は
「でてきてっていわれたから、でてきちゃった!」
小さな小さな手乗りサイズのナマズがお喋りをしていた。
「……え?」
ふわふわと宙に浮いて、尾ビレを犬のしっぽのように振り回している。
「ぼくのおひげこわしたのだぁれ?」
うるうるした瞳で可愛く首を傾げる、小さなナマズに
「こ、この人よ」
思わず犯人を突き出した。
「寧々!?い、いや、俺は…」
繋いでいた手を離して、そっと距離を取る。
可愛らしい姿とはいえ、封印されていた呪霊の…怒りの鉄槌を喰らいそうな五条くんとは、離れるに越したことはない。
「きみ、わるいひと?ぼくのこときらいなの?」