第8章 違う人と任務
「はい!この通り!すんませんしたー!!」
最敬礼の45度を大幅に超える90度の直角…をも凌駕する
体をガラケーのように2つに折る前屈を見せる五条くん。
「もがふがもご」
水中にぼちゃんと突っ込んだ頭の下で、何かを言っているようだけど、全くと言っていいほど聞き取れない。
「捨て身ね、五条くん」
「潔くて良いじゃないか」
土下座でも何でもしてみたら、なんて言ったのは自分だけれど
手を繋いでいる人がいきなり体を半分にしたら、ビックリしちゃうじゃない。
「もごふごふがもがもぐぉ…っはぁ!!!」
息が続かなくなり顔を上げた五条くん。
どっぷりと水に浸かった頭はともかく、そこから滴る水滴で肩までびしょ濡れ。
イルカショーと違って、ずぶ濡れになるのがセオリーではないと思うのだけれど。
最前列に座ってまで、わざわざ水を被りにいくような人だからいいのかしら。
「水も滴るいい男だろ?見惚れてもいいぜ、寧々」
「寒そうだなと思うだけよ」
「心配してくれてんの?2人で温め合いでもする?」
『する!』