第8章 違う人と任務
「寧々、また転んだな」「寧々ちゃん、また転んだね」
「……!」
正確には五条くんと夏油くんが、片腕ずつ引っ張ってくれたおかげで転ぶことはなかった。
……けど
「おい傑、手離せよ。寧々は俺が支える」
「強く掴み過ぎて怪我はさせるなよ」
五条くんによって、引き上げられた体。
体制を立て直すよりも早く
「やっぱり寧々は手を繋いでないとダメだ。これからはずっと繋いでおく」
「それは嫌」
ぎゅっと握られた手は、また固く強く痛いのかと思った。
それでも、思いの外優しく包み込まれた手からは、温かくて落ち着く気持ちが込み上げてくる。
もう少しだけ、離さないでおこうかな。
「問題は…悟が怒らせちゃったナマズをどうするかだね」
「五条くんが土下座したら?水に頭をつけて」
「犯人探しはやめろよ。連帯責任だろ」
「絶対に違う」「有り得ないわ」
私と夏油くんに諌められて、五条くんは渋々口火を切った。
「そんじゃ、ナマズだか何だか知らないけど、謝罪する為に出てきてくれる?」