第7章 夏休みといえば
でも…兄と同じ体勢で迫ってきたのに、五条くんと兄を重ねることはなかった。
兄と五条くんは違う、違う人なんだ。
だからこそ、私は五条くんを……。
私なんかが五条くんを….。
過去を打ち明けてすらいない私が、好きになっても良かったのかな…。
ああ、頭がごちゃごちゃする。
「俺には寧々と寧々との子供を守るという使命が…っ!くそ…っ、まだ痛ぇ、ちなみにさっきのセリフ、デジモ「守る…?」
何か…引っかかる。
私が守ろうとしたもの、守ると決めたもの…
「あっ!!」
急いでベッドから飛び起きる。
悶絶状態の五条くんを横目に、私が守りたいものに駆け寄る。
「この子達を水槽に移し替えてあげなきゃ…!」
確か飼育に必要なものは五条くんが実家から調達してくれるって言ってたけれど…
「金魚の飼育セットなら…もう届いてると思う」
「連絡してくれてたのね!ありがとう!」
さすが五条家…仕事が早いわね。
しばらく立ち直れそうにない五条くんだったけど、なんとか持ち直して寮の入り口まで一緒に取りに行ってくれた。