第7章 夏休みといえば
「こんなに沢山…!」
もっと簡易的な初心者向けの飼育セットかと思っていたけど、馬鹿でかい水槽に濾過フィルター、エアーポンプ、掃除に必要な細かな道具、高級志向の餌……
水槽のレイアウトに使えそうな砂利や水草、流木にトンネル……
至れり尽くせりの内容を、ほんの短時間で用意してしまう五条家に脱帽せざるを得ない。
「ありがとう五条くん」
ご丁寧にも詳しい飼育方が書かれた本も届けられていた。
その本の通りに下準備をしながら、玄関に水槽を設置してレイアウトを施していく。
私がせっせと世話をする様子を見て、五条くんも何かと手伝ってくれた。
そんな甲斐があって作業は順調に進み、最後の水合わせの段階まできた。
「ここが新しいお家よ。気に入ってくれるかしら?」
「こんなVIP待遇なんだから長生きしろよ。あと俺から寧々を取るんじゃねぇ」
私が金魚ばかり見ているのが気に食わない…と付け足した五条くんは、あからさまに敵意を剥き出しにしている。
水合わせも完了して、金魚たちはだだっ広い水槽を悠々と泳ぎ出した。