第7章 夏休みといえば
「あ、でも傑はボコボコにしねぇと。俺の寧々に触った罪は償ってもらわないとな」
「夏油くんは悪くないでしょ。私がたまたま夏油くんの方に倒れてしまっただけなのに」
「大丈夫、怪我はさせない。俺は傑に怪我して欲しくねーんだよ」
私に怪我させたくないと言った時とは違う、悪い顔のまま。
五条くんは爽やかすぎる顔で笑って、それが尚更怖い。
「あ、もう一つ寧々に言いたいことあんだよ」
「なにかしら?」
嫉妬をしていたと言った時のような、強張った顔ではないけれど…
「お揃いのボールペンのインク、寧々の方が減ってるって言ったけどさ。あれ…俺、補充して使ってたんだよね」
「替え芯を入れてたということ?」
「そんなとこ。ついでにシャーペンも中身を新しいのに変えてる」
「……それが言いたいこと?」
もっと深刻な話かと身構えていた私には、肩透かしのような話だった。
「もっと驚けよ!私とお揃いのものをずっと使い続けてくれてるんだぁ♡みたいによ!!」
「…確かに、そう考えると嬉しいかもしれないわね」
五条くんが勉強だけに使ってたとは思わないけど。
「あ、私からも五条くんに言いたいことがあるの」