第7章 夏休みといえば
「そんなことは…っ」
「まだ認めないの?頑固だねぇ」
五条くんはさっと手を伸ばして、私の頭をわしゃっと撫でた。
「!?」
術式を発動しようと思えば、ギリギリ間に合ったかもしれない。
でも、そうできなかったのは…そうしようとしなかったのは…
今までも、そうしてこなかったのは……
「まだ大好きではないんだってば!!」
好きではあるかもしれないけど…!
でも、認めたくなんかない。
だって、悔しいから。
好きにならないって条件は撤廃してあるけど、それでも悔しいじゃない。
「寧々は俺を好きになること」なんて五条くんの条件を満たしてしまうのが。
素直になんて、なれそうにない。
「ククッ、寧々、俺のこと好きではあるんだな?」
「そっ、そういうことでもないから…っ」
五条くんは面白がって、私の頭を撫でくりまわした。
拒絶の術式を使う余地もなく、好き放題に揉みくしゃにされる。
「素直になった寧々も可愛いんだろうな?」
「変なこと考えないでよ…!」
五条くんは明らかに悪い顔をしている。
やっぱりタチが悪くて、厄介で、それでもカッコよくて、余計にタチが悪くなりすぎて…!