第7章 夏休みといえば
感情任せの特級術師の方が、数段とタチが悪くて厄介だった。
尚且つ、五条くんなら本当にそんな理由で、日本列島を壊滅させてしまいそうで。
「キスするか、日本滅亡か、どっちが良い?」
とんでもない2択を迫る五条くんにたじろぐ私。
「手始めに、上の連中全員殺してもいいんだけど、どうする?」
そんな恐ろしいことを言われても…
「ねぇ、五条くん」
「なに?寧々」
サングラスを外してくれたお陰で、感情の機微が分かりやすい。
人の感情は移ろいゆくもので、常に千変万化…変化するものだけど…
「もしかして、もう機嫌直ってる?」
この呪いは寧々のキスで〜の辺りから、おかしいと思ったのよね。
「あ、バレてる?可愛い寧々の顔見てたら、自然と癒されちゃった。あと2人きりの部屋で下心抑えるとか無理だわ」
「下心はないって言ってたじゃない!」
わざと怒っているような悲しんでいるような、機嫌を損ねたような演技をするなんてね…!
「仕方ねぇじゃん。寧々の顔見てたら、俺のこと大好きって書いてあるんだもん。ニヤけるに決まってんだろ」