第7章 夏休みといえば
「嫉妬するなんて初めてだから、どう伝えたらいいか分かんねぇけど…」
五条くんはじわじわと距離を詰めて、私をベッドまで追いやった。
これ以上退がることの出来ない私は、ベッドにぺたんと座り込む。
「俺を嫉妬させるのも、その嫉妬を直せるのも、寧々だけなんだよ」
「へ?」
「イライラしてもやもやする気持ちを、寧々が払ってって話。嫉妬なんてされる側で、まさか自分がするなんて思わなかった。こんな感情なんだな、嫉妬って」
「ーーっ!」
五条くんはサングラスを外して、ベッドの端に置いた。
サラサラの髪をくしゃくしゃと掻き分けて
「嫉妬してる俺ってどんな顔してんの?」
蒼い瞳を悩ましげに歪ませて、苦しそうな表情をして。
綺麗な顔立ちだからこそ、余計に切なくなるような表情をして。
そんな顔をさせた理由は……私にあって。