第7章 夏休みといえば
「寧々に触った傑に凄く嫉妬してる。もちろん触らせた寧々にも」
「そ、それは…っ」
「知ってる。術式の発動が間に合わなかったんでしょ?既に触れられた状態からだと意味がないことも」
私の術式は視界に映った人や物を対象に「触らないで」と拒絶を示すことで、
攻撃を受けなかったり、触られなくなったりするもの。
死角からの攻撃には弱く、廃工場で降り注いだ破片を避けきれず足に直撃したのも、
目で見える範囲以外からの不意打ちには、対応しきれないせい。
転倒して夏油くんに支えられた時も、術式を発動する隙がなかった。
所詮…
「私の術式は五条くんの使う無下限術式の劣化版だから…」
今のようにマニュアル出力ではなく、オートマで発動出来ていたとしても、五条家相伝の無下限呪術のように猛威を振るうものでもない。
「急に触られると何も対処できなかった。決して夏油くんだから、触られてもいいと思ったなんてことはないの…っ」
「傑が離さなかったってのは分かってるよ。でも…好きな子が他の男に触られて、嫉妬すんなって無理な話じゃん?」