第7章 夏休みといえば
今日2回目の恋人繋ぎ。
転びそうになった私を想っての、五条くんの優しさだとは思うのに
強く、固く、握り締められた手が…痛い。
でもきっと、五条くんは気付いてない。
私がこの手を離したいと、色濃く思っていること。
心からの拒絶はなく、五条くんの体温を感じるのに、痛くて、痛くて……。
このことは五条くんに伝えてもいいのだろうか…。
あまりにも強い男性の力で潰すように握られていること。
五条くんの荒んだ感情が手にまで伝わっているみたいで。
……でも、どうして?
それ以降は特に会話が弾むこともなく、高専の門まで辿り着いた。
それでも五条くんは強く握りしめた手を離すことなく、寮まで進んでいく。
「今日は思わぬ形でお邪魔して悪かったね。楽しませてもらったよ。それじゃあ、また」
夏油くんはにこやかに微笑むと、一足先に部屋に帰った。
「私も楽しかったわ…五条くん、手を離して?部屋に戻れないじゃない」
「なぁ、寧々。寧々に話したいことがあるから、部屋まで着いていっていいよな?」