第7章 夏休みといえば
「ほらよ、寧々」
戻ってきた五条くんは足元に屈んで、すっぽ脱げた足に下駄を履かせる。
「触るぞ」
「……!!」
五条くんが裸足の指の間に鼻緒を引っ掛けて、私に下駄を履かせている間もずっと
夏油くんは私を抱いたままだった。
「2人ともありがとう。私ってば、お祭りの気分が抜けていなかったみたい」
「楽しい思い出」が増えたことに緩み切っていた。
「夏油くん、離してくれて大丈夫よ。怪我もないし自分で歩けるわ」
「それは良かった。寧々ちゃんに怪我をさせるわけにはいかないからね」
夏油くんから離れた私は1人で歩き出そうとする。
それなのに、右側から手を引っ張られた。
「やっぱり寧々は手を繋いでないとダメだな」
「ちょっと五条くん!」
「もう転ばないって言ってたのは誰だよ?」
そのまま強引に手を繋がれて、長い指でがっしりと押さえ込まれた。
また…恋人繋ぎをするのね。