第7章 夏休みといえば
それでも地面に向かって倒れなかったのは……
「っと…!寧々ちゃん、危なかったね。大丈夫かい?」
右を歩く五条くんと左を歩く夏油くん…左側に倒れた私を
夏油くんが腕を引っ張って、倒れかけた体を支えてくれたから。
私を胸に抱き止めた夏油くんの手からは、3個のヨーヨーがスポッと飛び出し、石畳の階段にぶつかり水飛沫をあげてビチャッと割れた。
「…っ!金魚は無事だけどよ。寧々、怪我してないか?」
私の手からも3匹の金魚を入れた袋がすり抜けていて、宙に放たれたところを五条くんがキャッチしてくれていた。
「あ、ありがとう…夏油く…っ、五条くんも…っ」
体勢を立て直して、夏油くんから離れようとする。
「触らないで」ほしいから。
「まだ動かないで、寧々ちゃん。転んだ拍子に下駄が飛んでいってしまったからね。悟、拾ってきてくれるかい?」
「おう…」
よく見ると左足に突っかけていたはずの下駄が、階段の下まで転がっていた。
五条くんが下駄を取りに行って戻ってくるまでの間、片足を浮かせながら夏油くんに支えられたまま。