第7章 夏休みといえば
「五条くん、バルス」
「目がぁ、目がぁーー!もう寧々しか見えないっ。花火とかどうでもいい」
こんなにも綺麗な花火を前にして、私の顔を覗き込むなんて…
「五条くんのアホ面には、心底うんざりさせられるわ」
そんな五条くんを置き去りに、多種多様な花火は夜空に晴々しく、煌びやかに咲き誇る。
連射連発された花火は目で追うのがやっとなほど、次々に咲き乱れていく。
最後に一段と大きい3尺玉がドカンとド派手に夜空を支配し、フィナーレを飾った。
まだ余韻で心臓がドキドキしている。
花火だけの余韻ではないことも分かっている。
心地の良いドキドキに全身を包まれて、五条くんに後ろから抱き締められたまま…
呪霊はゆっくりと地上に戻っていく。
「おかえり、ふふ、妬けてしまうね」
「火花が飛び散って、焼けてしまうかと思うくらい近くで見たのは初めてだったわ。貴重な経験をありがとう、夏油くん」
「サンキュー、傑。あとお前もありがとな」
五条くんは片手で呪霊の頭を撫でた。
その隙に五条くんから脱出し、呪霊から1人で飛び降りた……かった。