第7章 夏休みといえば
五条くんが呪霊の背のど真ん中に鎮座したせいで、私は端っこにしか行き場がなく、振り落とされてしまいそう。
これでは花火鑑賞どころではないわ。
「寧々、俺の膝に乗れよ」
「はぁ!?そんなの嫌よ」
「悟が無駄に大きいからそうした方が安全だよ」
自分から五条くんに身を寄せるなんて真似は…っ。
「悟、寧々ちゃんを受け止めてあげておくれ」
「任せろ!」
「!?」
足元の地面が突如隆起し、体が上に放られるように突き上げられる。
地面に押し出されたのではなく、地中から這い上がった夏油くんの操る呪霊…その頭に押されたものだと理解した時にはもう…
「しっかり掴まってろよ、寧々」
突然の出来事にバランスを崩した私を抱き止めた五条くんは、私を膝に乗せたまま落ちないように、逃げられないように後ろから両腕を回した。
五条くんのしっかりした体に支えられながら、抵抗すれば地面に叩きつけられる距離まで呪霊は浮かび上がった。
下を覗き込むと、預けた金魚を持ってにこやかに手を振る夏油くんと巨大な芋虫のような呪霊が、遠く小さくなっていくのが見えた。
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「しっかり捕まえておくんだよ、悟。いつ誰が寧々ちゃんを奪い去ろうとするか…分からないんだからさ」