第7章 夏休みといえば
「私の独り勝ちだね。何か褒美はあるのかい?」
「仕方ねぇな。特別にこの俺が獲ったバカでかヨーヨーやるよ」
「要らない物押し付けるんじゃないわよ」
それでも夏油くんが「3人分のヨーヨーが欲しい」と言った為、プレゼントすることにした。
そうこうしているうちに花火の打ち上げが実行されるとのアナウンスが放送された。
多くの人々が露店通りから拓けた花火会場へと移動し始める。
「俺達はどこで見る?」
「場所取りをしておけば良かったわね」
「どれ…2人の邪魔をしてしまったお詫びに、私が一肌脱ごう」
比較的人の少ない建物の影まで移動すると、夏油くんが指をパチンと弾く。
「さぁ、2人とも乗って。もちろん観衆からは見えないようにするさ。空から見る花火はさぞ綺麗だろうね」
夏油くんの呪霊操術によって召喚されたエイのような呪霊。
「夏油くんは乗らないの?」
「私は一線を引いて見守っているよ。近づき過ぎると身を滅ぼしてしまうからね」
「なんだよ傑、花火の音が苦手なの?もったいねぇ」
「ふふ、そういうことにしておいておくれ」
五条くんが先に乗り込んで、私に来いよと手招きをする。
「五条くん、もっと端に寄ってくれないとスペースが足りないのだけど」