第7章 夏休みといえば
「私と寧々ちゃんの同率1位といったところか」
「そうみたいね」
「重さで言ったら俺が優勝だろうが!」
「残念ね、五条くん。重量じゃなく数量の勝負なのよ」
五条くんは論外として、沢山掬ったのにお店のルールで10匹までしか持って帰れないらしい。
「要らなくね?誰が世話すんだよ」
「悟、金魚だって生き物だよ。言い方には気をつけるんだ。とはいえ、飼いきれそうにはないね」
お土産に持って帰る事を躊躇する2人。
でも、私は……
「3匹だけ…持って帰りたいのだけど。五条くんが掬った大きな子と夏油くんの掬った黒い子、それからこの一際小さくて弱々しい赤色の子も」
それぞれが掬った金魚を1匹ずつ選んで、専用の持ち帰り袋に入れてもらった。
「帰ったら寮母さんに水槽があるか聞いてみるわ」
無かったら買わなきゃだけどね。
「その必要はねぇよ。実家に連絡して飼育に必要なもん全部取り寄せるわ」
「五条家というバックが付くなんて、幸運な金魚たちだね。長生きするといいね、寧々ちゃん」