第7章 夏休みといえば
溶けやすいかき氷から食べ始めて、わたあめ、りんご飴にいちご飴、クレープにベビーカステラ……
ボリュームが少ないから何とか食べられるけど、別腹分もいっぱいになってきた。
……五条くんの胃袋は相変わらずの底なし沼だけどね。
ラストのラスト、夏油くんが串に刺さったチョコバナナに手を伸ばした時。
「あ、傑!それは寧々の分だ!」
「どうしてだい?」
「私、もうお腹いっぱいなんだけど」
五条くんは夏油くんの伸ばした手を退けて、代わりに余っていたわたあめを持たせた。
「そしてこれは俺が寧々に食べさせる」
得意げにチョコバナナの棒を握って、私に差し出した。
「要らないわ。もう食べられないもの」
「一口でいいから食べろって。先っちょだけでもいいから」
五条くんはフランクフルトを強引に捩じ込んだ時みたいに、私の口元目掛けて突き出した。
「嫌っ!?」
拒否の構えをとるも間に合いそうにもなかった私と、ニヤニヤする五条くんの間に割って入った……
「寧々ちゃんが嫌がってるだろ。子供っぽい事はやめるんだ」
闇より黒い髪にはギラリとした複数の目、頬を切り裂くような大きな大きな口、目元こそ黒い髪で覆われて見えないけど、